上毛新聞「視点オピニオン21」第2回

 2017.1.7上毛新聞「視点オピニオン21」第2回

情報と言葉必要時に利用本位で

                    群馬の医療と言語・文化を考える会代表 原美雪

7年前、2度目の群馬での新しい生活が始まりました。仕事の傍ら、前橋市国際交流協会の日本語ボランティア、群馬県の医療通訳ボランティアとして活動を始めました。外国の方を日本の社会につなぐ活動です。日本で生活する皆さんの背景を理解し、必要な情報は何なのかを把握することが大切になります。

群馬大の多文化共生推進士養成講座や母校の東京外国語大の多言語・多文化社会専門人材養成講座で学ぶ機会に恵まれ、日本に住む外国の方を理解するには、多文化共生の視点から日本社会を捉える方法があることを知りました。

1980年・90年代、日本経済が繁栄する中、入管法の改定を経て工場などで働く中南米の日系の人々、アジアから来日する人々が急速に増えました。彼らはやがて家族と日本に定住し、生活者として私たちと共に生きる人々となったのです。

留学生や日本人の配偶者、企業や工場で働く方、技能実習生、経済連携協定のもと外国人看護師・介護士として学び、働く人など、実にさまざまな方が私たちの周りで生活し、日本の社会を支えています。それぞれの社会で生活を楽しみ、仕事や交流の機会を持ちながら刺激し合えるような関係が発展してほしいと思います。

今、日本全国の在留外国人数は約230万人。群馬県では4万8000人を超えています。群馬では、国籍別ではブラジル、中国、フィリピン、ペルー、ベトナムの順、東部地域では圧倒的に中南米の方、西部・北部ではアジア系の方が多く住んでいます。

外国の方に「日本の生活はどうですか」と尋ねる調査が長年、日本全国、さまざまな機関で行われています。

外国の方が不安に思い、必要とする情報は、安心・安全に生活するためになくてはならない医療や福祉、労働に関するものです。日本に長年住む方でも答えは同じです。なぜなのでしょう。

一つの理由は言葉にあります。日本語はとても習得が難しい言葉です。流ちょうに話ができても、ひらがな・漢字・かたかなまで使いこなす方は多くはありません。日本語を母語とする私たちには、そこが理解できません。

仕事に忙しい方は日本語を学ぶ機会がありません。一つ屋根の下で暮らす家族の中でも、日本で生まれ育った世代が親の世代とコミュニケーションが十分にとれないという状況が生じています。ともに暮らす社会を考える時、私たちはこの事実をしっかり認識することからスタートしなければなりません。

また、情報は利用者中心に集め直し、必要とされる時と場所で、アクセスしやすいツールとわかりやすい言葉で届けられてこそ生かされます。ワン・ストップ・サービスは情報格差の解消にも有効な、人にやさしい環境です。


群馬の医療と言語・文化を考える会代表 原美雪 前橋市三俣町

【略歴】東京都出身。東京外語大卒。外務省で在インドネシア大使館などに勤務。2013年に群馬の医療と言語・文化を考える会を立ち上げ、医療通訳の普及に尽力。

2017/01/07掲載

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